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読書単元はこう教える(3)

―光村図書3年上「集まれ、世界のお話」―



太田 聡美(翔び梅・北九州 「無法松」サークル)

 3年生になると、絵本も読むが、「お話の本」の世界にも足を踏み入れるようになる。お話の本の世界に上手に入れてやるには、教科書の文章くらいはすらすら読めるようにしてやらなくてはならない。また、教科書に載っているお話を読む程度の力で読めておもしろい物語をたくさん用意しておく必要がある。子どもをお話(童話)の国へ誘うにふさわしい本とはどんな本だろうか?ここでは、そのポイントについて述べてみる。

ポイント1 前半と後半で中心人物が、極端に変化するものがいい。

 3年生になると、教科書に場面分けの数字が登場する。当然、書き下ろし以外の原作にはない。なぜ、こんなものをつけるのか?それは、場面の転換を容易にするためである。「きつつきの商売」では、挿絵といっても描かれているのはカット程度。1の場面と2の場面の舞台は同じである。1と2の間に暗転があることを数字が示しているのだ。要するに、3年生の教科書に取り上げられているのは、「起承 転結」が、はっきりした話ということになる。「三年とうげ」や「モチモチの木」は、その典型といえるだろう。

ポイント2 小さな完結したエピソードが集まったお話がよい。

 昔話集や冒険物語というのは、独立した小さなエピソードの集合体である。教科書で読んだ程度の話が、いくつも集まっている本は、TVで言えば、ドラえもんやサザエさんのようなものである。1話1話は完結しているが、全体として、「ドラえもん」「サザエさん」と、その周辺の話なのである。

ポイント3 エピソードに関連があり、主題が一貫しているものがよい。(串団子型)

 「エルマーのぼうけん」や、大どろぼうホッツェンプロッツのように1冊にまとまったものもあれば、ベロニカやチムのシリーズのように登場人物や設定が共通するお話が何冊かシリーズで出ているものもある。(実は、聖書なども、この原則を踏まえている。)シリーズ全体を読めばヒーローを中心とした変化のある繰り返しになっていて、その民族に伝わる知恵や、価値観、あるいは作者が理想とする人間像が浮かび上がってくる。ばらばらなように見えて、1つのことをさまざま角度から述べているのだ。

ポイント4 中心人物と対役の組み合わせがおもしろいものがよい。

 親近感を感じるような中心人物が、自分の前に立ちはだかる「不正」や「弱さ」を克服していくような話が好まれる。それは、幼児から脱皮しようとする子どもたち自身の姿、そのものだからだ。彼らは、ヒーローはかっこいいと思うけど、自分自身は本音で生きていた時代から、やせ我慢をしても理想に近づこうとする時代に入ったのである。対役は、子どもの心を持ったまま大人になったような人物が多い。自己中心的でわがままだが、憎めない。力では勝てないことがわかっているので、頓知が支持される。

ポイント5 エピソードの一つ一つをきっちり描いたものがよい。 

 お話としてのリアリティにこだわるのがこの年頃である。エルマーのリュックの中身と、どうやって手に入れたかということが、必然性を持って書かれている。それが、この物語全体の「ほんとうらしさ」を支えている。ベロニカだって、かばとしての特性や行動様式にのっとって描かれているからこそ笑えるのであり、人格の「典型」として描くことが可能になってくるのである。


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